S&P500とオルカンどっちがいい?初心者向けにわかりやすく徹底比較【クロネコ主任の結論】

投資

【クロネコ主任より】 「S&P500とオルカン(全世界株式)、結局どっちに積立投資すべきか?」これは、投資を始めた方が必ずぶつかる「永遠の論争テーマ」です。

多くの方が、「S&P500はリターンが高い」「オルカンは分散できて安心」というイメージを持っているはずです。

しかし、今年(2025年)はオルカンがS&P500のリターンを大きく上回るという、投資界隈では異例の「逆転現象」が起きました。

本記事では、この逆転現象の背景にある最新の市場データと、現役投資家としての冷静な分析を基に、「あなた自身の目的」に合った最適な投資先を見つけるための判断材料を徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、あなたがどっちを選ぶべきか、そして「迷って行動が止まる」という最大のリスクを回避する方法が見えてくるはずです。


1. オルカン vs S&P500:基本的な違いと特性

まず、投資の土台となる「投資対象の範囲」と「リスク特性」の違いを整理しましょう。

比較項目オルカン(全世界株式)S&P500(米国株式)
投資対象世界47カ国、約3,000社アメリカを代表する500社
分散性非常に高い(地域、企業数)低い(アメリカ一国に集中)
アメリカ比率約65%100%
為替リスク複数通貨に分散されるため、影響を分散できる。全てドル建てのため、ドル高・ドル安の影響を直接受ける。
投資コンセプト世界経済全体の成長を幅広く取り込む「平均点」戦略。アメリカ経済の成長に集中し、高いリターンを狙う「集中」戦略。

クロネコ主任の視点:オルカンも約65%はアメリカ株です。つまり、オルカンは「アメリカの成長を軸に、非アメリカの成長でリスクをヘッジする」戦略とも言えます。


2. 過去リターン比較と「今年の逆転現象」の背景

過去のデータから見ると、約20年間はS&P500が圧倒的に強く、オルカンを上回るリターンを出してきました。しかし、近年、この差が縮まり、ついに今年はオルカンが逆転しました。

2-1. リターン推移の傾向

期間オルカンの年率平均リターンS&P500の年率平均リターン結果
長期(約17年)6.5%9.3%S&P500が優勢(約1.5倍)
直近5年間10.1%13.4%S&P500が優勢だが差は縮小
今年(2025年)+19%+14%オルカンがS&P500を上回る

2-2. なぜオルカンがS&P500を上回ったのか?

今年のオルカン優勢の背景には、「割安な非アメリカ株への資金流入」が挙げられます。

① アメリカ株の割高感(期待の織り込み済み)

S&P500は、AI革命への強い期待から、すでに株価がかなり高い水準にあります。具体的には、長期的な株価の割安度を示す「PER」が、ITバブル期に匹敵する高水準にあります。つまり、将来の成長を先取りしすぎている状態です。

② 割安な日本株・欧州株への資金流入

一方で、日本や欧州の株式市場は、S&P500に比べて割安な水準にありました。

市場今年のリターン(例)株価の割安度(PER)
日本(日経平均)+27.9%長期平均に近い
ドイツ(欧州株)+17.7%割安な水準
アメリカ(S&P500)+14.6%過去平均を大きく上回る割高な水準

この結果、「割高なアメリカ株」から「割安な非アメリカ株」へと資金が流れ、アメリカ以外の地域の好調さがオルカン全体のリターンを押し上げました。これは、オルカンの「世界分散」という仕組みが機能した証拠です。


3. 今後の展望:アメリカ一強は続くのか?

今後もオルカンがS&P500を上回り続けるかは、「アメリカがこれまでの成長を持続できるか」にかかっています。

3-1. 【不安要素】アメリカ経済に見える「赤信号」

足元のデータを見ると、アメリカ経済の持続性にはいくつかの懸念材料があります。

  • 株価の過熱と割高感: 前述の通り、AIへの期待がすでに株価に過剰に織り込まれ、期待通りの業績が出ても株価が上がりにくい局面に入っています。
  • 景気後退の兆し: AI導入による効率化やコスト削減を背景に、Amazonなどの巨大企業を含む多くの企業でリストラが急増しています。雇用不安は消費を冷やし、景気減速の悪循環を生み出す可能性があります。

3-2. 【強み】それでもアメリカが強い「3つの決定的な理由」

不安要素はあれど、今後10年~20年のスパンで見て、アメリカが世界の中心的な役割を降りる可能性は極めて低いと私は考えています。

理由1:AIと次の産業革命への「圧倒的投資」

アメリカは、AI、半導体、クラウドといった次の産業革命の中核技術に世界で最も巨額の資金(2位の中国の約12倍)を民間企業が投じています。この圧倒的な投資力こそが、今後AIが本格的に企業の生産性や利益率を押し上げた時の最大の果実を得ることを意味します。

理由2:ドルの「基軸通貨」としての揺るがない支配力

世界の外貨準備に占めるドルの割合は依然として圧倒的です。人民元やユーロに変わる通貨は現実的に存在していません。ドルが基軸通貨である限り、世界中の資金は高い信頼性を持つアメリカの株式市場に集まりやすいという構造は変わりません。

理由3:金利の低下による「経済の追い風」

景気の減速や雇用の悪化を受け、今後は段階的な利下げが進む可能性が高いです。金利が下がると、企業は資金調達をしやすくなり、経済が活性化して株式市場全体に上昇の追い風が吹きやすくなります。

クロネコ主任の結論:オルカンが一時的に上回っても、アメリカ一強の時代がすぐに終わるとは考えにくいのが現実です。


4. 最終結論:オルカンとS&P500、あなたに合った選び方

結局どちらがいいかは、あなたのリスク許容度と投資の目的によって異なります。

選ぶべき人オルカン(全世界株式)S&P500(米国株式)
目的安定性重視、世界経済の平均点を狙う積極的な成長、高いリターンを狙う
メンタル値動きで不安になりやすい、分散による安心感を求める多少の値動きは気にせず、アメリカの成長力を信じられる
リスク許容度低〜中中〜高
強み今回のようにアメリカが停滞しても、他地域の成長を取り込める。AIなど次世代技術の恩恵を最も強く受けられる。

4-1. 【推奨】迷ったら「ハイブリッド戦略」が最強

どちらか一つに決められない、という方は多いはずです。ここで「迷うこと」は、「行動が止まる」という最大のリスクにつながります。

もし決めきれないなら、「オルカンとS&P500を組み合わせるハイブリッド戦略」を強くおすすめします。

  • 例:オルカン60% + S&P500 40%
  • 効果: オルカンで安定性を確保しつつ、S&P500でアメリカの成長も積極的に取り込みます。
  • 心理的メリット: どちらかが下がっても、もう一方が支える構造になるため、心理的にも安心しやすく、継続しやすいのが最大のメリットです。(臨床心理士の視点からも、継続しやすい仕組みが重要です)

「両方買うのは意味がない」という意見もありますが、細かい理屈よりも「投資を継続できること」の方が圧倒的に重要です。

※ちなみに私はオルカン50%、S&P50%です


5. 【最重要】株式投資に共通する唯一の注意点

オルカンやS&P500を選ぶにせよ、共通して注意すべき点があります。

それは、どちらも「株式」という同じ資産クラスに属していることです。

オルカンは世界に分散していますが、約65%がアメリカ株です。つまり、世界的な金融危機やアメリカ市場が大きく暴落した場合、オルカンもS&P500も同じように大きく値下がりします。

守りの資産を組み合わせる「ポートフォリオの完成」

本当にリスクを抑えたいなら、株式という「攻め」の資産だけでなく、「守り」の資産も組み合わせることが不可欠です。

  • 守りの資産の例: 債券ゴールド(金)。
  • 効果: これらの資産は、株式とは異なる値動き(逆相関)をするため、株が大きく下がった局面でも資産全体の下落を緩衝してくれます。

例えば、S&P500と債券を半々で持った場合、リターンはオルカンに単独投資した場合と大きく変わらないのに、最大下落率は大幅に抑えられるというデータがあります。


6. まとめ:投資は「続ける仕組み」を作れば成功する

オルカンとS&P500のどちらを選ぶかは、あなたの人生の目的に合ったリスク許容度で決まります。

大切なのは、「完璧な答え」を探すことではなく、「あなたが納得して長く続けられる仕組み」を作ることです。

  • 安定と安心を重視したいなら → オルカン
  • 高い成長を積極的に狙いたいなら → S&P500
  • 迷って行動が止まりそうならハイブリッド戦略

まずは少額からで構いません。今日、一歩踏み出し、あなたにとって最も心地よく、継続しやすい投資の形を見つけてください。

不安は、正しい知識と行動で解消できます。