【クロネコ主任より】 最近、「国内版NISAが始まるかも?」という噂がSNSで話題ですね。私も「オルカン」を中心に積立している身として、この話題は気になるところです。
結論から言うと、まだ具体的な制度が決まったわけではありません。今回注目されたのは、国会で交わされた「NISA資金が海外に偏っている」という非常に重要な議論です。この記事では、この議論の背景を、私の投資家としての視点を交えてやさしく解説します。
1. はじめに:なぜ今、「NISA資金の海外流出」が問題視されたのか?
NISAは制度として大成功ですが、資金の投じ先を見ると、ある傾向が顕著です。
人気ファンドは圧倒的に海外系
多くの投資家が選んでいるのは、以下の海外インデックスファンドです。
- オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式など)
- S&P500(eMAXIS Slim 米国株式など)
- 全米株式(VTI系)
これらのファンドを通じて、日本人の投資マネーが海外、特に米国の成長企業に流れています。
● 国会の懸念: 日本維新の会の議員が、2025年11月10日の衆議院予算委員会で、「NISAの多くが海外ファンドに流れてしまい、結果として日本企業に資金が回りづらいのでは?」という問題を提起しました。
これは、投資家の私たちからすれば「リターンを求めた合理的な結果」なのですが、国全体としては「日本の成長資金をどう確保するか」という大きな課題に直結します。
2. 海外インデックス人気は「合理的結果」である理由
投資家の私たちが海外ファンドを選ぶのは、決して日本企業が嫌いだからではありません。シンプルに、「リターンとリスク分散」という大原則に基づいた行動です。
投資家として海外ファンドを選ぶ理由
理由1:過去のリターンの差
過去数十年の実績を比較すると、米国を中心とした世界株式の成長率が、日本株を上回っている時期が長かったという事実があります。
理由2:リスク分散のしやすさ
「オルカン」であれば世界数十カ国に分散投資できるため、日本株だけに投資するよりも、カントリーリスク(国特有のリスク)を大きく減らせます。
✅ クロネコ主任の視点: 私もポートフォリオの基本は、海外インデックスファンドです。これは、「成長が期待できるところに投資する」という、投資家として最も正しい判断に基づいています。
3. 「国内NISA枠」を提案する背景:海外の制度から学ぶ
議論では、「日本も国内企業への投資を促す仕組みを検討すべきではないか」という提案があり、海外の類似制度が比較として登場しました。
海外の優遇税制の具体例
| 国名 | 制度名 | 仕組みの概要 |
|---|---|---|
| フランス | PEA(株式貯蓄プラン) | EU域内の株式に限定。5年以上の保有で利益非課税。 |
| イタリア | PIR(長期投資プラン) | 投資額の70%以上をイタリア国内企業へ投資。5年以上保有で非課税。 |
これらの制度は、「自国の企業に資金を集め、企業の成長を後押しする」ことを明確な目的としています。日本でも、国内企業を応援する投資枠を作ることで、国内の資金循環を良くできないかという示唆として使われました。
4. 金融担当大臣の回答と、この議論が示す本質的なテーマ
この提案に対し、金融庁を所管する片山さつき金融担当大臣は、非常に冷静かつ本質を突いた回答をしました。
大臣の回答の要点:「選ばれる魅力」が先決
大臣の回答は、要約すると以下の通りです。
- NISAの普及は成功しており、海外ファンドが選ばれるのは実績として自然である。
- 国内投資枠の議論自体は否定しないが、まずは日本企業が「投資家に選ばれる存在」になることが重要である。
- つまり、「税制で誘導する」ことよりも、「企業の魅力を高めることが先」という立場です。
今回の議論が示す大きなテーマ(企業と投資家への問い)
今回の国会での話題は、単なる税制の話ではありません。
- 企業側への問い: 投資家に選ばれるだけの成長戦略と透明性を示せているか?
- 日本経済の課題: 国内への資金循環をどう確保するか?成長のための資金をどう集めるか?
この背景にあるテーマは、「日本の成長に向けて、投資マネーをどう回すか」という非常に大きな話なのです。
5. まとめ:制度も投資も「長距離走」の視点で
もし将来、国内投資を優遇する「国内NISA枠」が導入されれば、それは私たち投資家にとって選択肢が増える良いことです。
ただし、税制が有利だから投資するのではなく、
成長が期待できるから投資する
という大原則を忘れてはいけません。
制度も投資も、短距離走ではなく長距離走です。これからも冷静に長く走り続けられるよう、市場と制度の進化を期待したいですね。
🔹 クロネコ主任からあなたへ
投資を始めるなら、まずは新NISAで最強の土台を作りましょう。

